映画『タンタンの冒険』で考えた、映画の外側のこと。まず公開日の戦略が面白い。欧州各国は10末公開、日本では12月1日公開。米国では12月23日公開(最も後発)。これは『タンタンの冒険』(という1930年代のベルギーの作家エルジュによるフランスのコミック)の知名度に応じた戦略か。これが吉と出るのか?はまだわからない。でも日本で成功する可能性は低いのではないか。次に映画の作り方が変わっていること。モーション・キャプチャーに数ヶ月、レンダリングに1年半。モーション俳優と声優でつくる画期的な映画。有名俳優の御機嫌取りをしなくて済み、有名俳優のスケジュールに拘束されない映画づくりができるが、制作費は$130M超らしいのでコストが安い訳ではないようだ。
映画『ロード・オブ・ザ・リング〜王の帰還』で、実写でのスメアゴル役とモーションキャプチャーでのゴラム役を演じたアンディ・サーキスは、その後、キングコング役、猿の惑星ジェネシスではシーザー役、そして、このタンタンではハドック船長役を演じている。熟練のパフォーマンス・キャプチャー・アーティストと言えそうだ。
パンフレットにあるアンディ・サーキスのコメント「パフォーマンス・キャプチャーで演技するには二つの重要なポイントがある。その一つは、微妙で小さい演技の方がいいということ。なぜかみんな、大袈裟な演技の方がいいと思っているようなんだけど、実際は反対。誇張することなく正直に繊細に、いつものように演じればいい。カメラを信じれば何の問題もないんだ。もう一つは、エネルギーを保つこと。一定のエネルギーをキープしなければ、キャラクターが疲れたようになり、活き活きした動きも表情も表現できなくなる。」という。将来、パフォーマンス・キャプチャー・アーティストを目指す者には、「金言」ではないだろうか。